ブリーダーの収入とコスト



ブリーダーの収入とコスト

ブリーダーの机上の収入

ブリーダーの机上の収入

まず、ビジネスとしての「ブリーダー」の想定される収入を計算してみます。ここでは全てが上手くいった場合の最大限の「ブリーダー」の収入を想定してみます。前提条件は母犬10匹の「ブリーダー」です。

犬1匹のヒート(生理/発情期)年2回×母犬10匹=年20回の出産

1度の交配によって4~6匹の子犬が産まれるので、20回×6匹=120匹の子犬

子犬を1匹10万円でペットショップに卸すとして、120匹×10万円=1,200万円

従って、机上の空論ですが母犬を20匹持てば年収2,400万円も夢ではありません。


現実のブリーダーの収入

現実のブリーダーの収入

次に、より現実的な「ブリーダー」の収入を想定してみます。

まず、犬のヒート(生理/発情期)は正確な6ヶ月周期ではありません。また、1度の交配で必ず受精することもありません。しかも、妊娠しても流産や死産も少なくありませんし、

産後に直ぐに死ぬ子犬も多いのです。更に、母犬の帝王切開も当たり前ですし、出産事故により母犬と子犬が共に亡くなることすら皆無ではありません。

従って、母犬10匹で見込まれる子犬の数は、多く見積もっても年間60匹がせいぜいです。

そして、ペットショップの買い取り価格は店頭価格の10~20%が相場ですから、高く見積もっても1匹1万円~2万円という水準が精一杯と考えられます。

従って、「ブリーダー」の想定売上高は60匹×2万円としても120万円程度となります。

一方、「ブリーダー」の経費は、「交配料」「健康管理費」「医療費」「衛生管理費」「ドッグフード代」「サプリメント」「ワクチン接種代」などの飼育費がかかり、その上、「人件費」「水道光熱費」「家賃」「地代」「交通費」など別途に掛かる経費も少なくありません。

つまり、「ブリーダー」の収入だけで黒字化するには母犬を50匹~100匹程度の大規模経営にするか、「動物病院」や「ペットショップ」に付属した業務として「ブリーダー」を行うのが現実的です。

また、もう1つの方法は、ビジネスではなく趣味と実益を兼ねた「ブリーダー」です。

犬を育てる傍ら子犬が産まれた時に子犬をネットなどで売り、犬の飼育費の足しにする訳です。そして、「ブリーダー」の規模を少しずつ大きくしていくのです。

目に見えないブリーダーのコスト

そして、意外に見落とされがちなのが上記以外の目に見えないコストです。その最たるものが、長年、「ブリーダー」の経営を支えた種牡・台牝も年を取りブリーディングには使えなくなると、コストと時間と場所だけが費やされる存在となることです。

特に、人間の高齢化と同様に犬や猫も高齢になっても元気な場合が多くなっています。言うまでもなく高齢犬を欲しがる人はいませんし、長年、貢献してきた高齢犬を保健所に持っていくことも忍びないのです。その結果、飼育場所に限りがある「ブリーダー」は、老犬ホームと化します。

更に、その様な老犬も24時間365日気を抜くことなく世話をしなければなりません。食餌も与えなければなりませんし、糞尿の始末は速やかに行わなければならないのです。